【社長ブログ】卵 高値が続いています。

香港のお客様向けに、当社では毎月4~5コンテナ分の卵を出荷しております。
しかしながら、日本国内では高値が続いており、現在は採算分岐点ギリギリの状況で船積みを継続しています。

昨年の仕入れ実績を見ると、この時期には<40フィートコンテナ1本=16,800パック、価格:約200万円台半ば>で取引されていましたが、現在では税込価格で「400万円」を超える水準となっております。

JAが毎日発表している相場データをもとに、東京市場におけるMサイズの基準価格を比較すると、昨年2024年3月時点では<1kg=211円>であったのに対し、今年2025年3月には「327円」まで上昇しています(詳細は左下表をご参照ください)。

©豊潤物産

Mサイズは1個あたり約60gのため、昨年3月は1個あたり約12.59円、今年3月は約19.11円となります(詳細は下記表をご参照ください)。

卵は「物価の優等生」として、長年称されてきました。

逆に言えば、飼料や人件費などのコストが年々上昇しているにもかかわらず、価格が10年、いやそれ以上にわたり据え置かれていたこと自体に、無理があったとも言えるでしょう。

昭和生まれの私にとって、「大鵬・巨人・卵焼き」という言葉は馴染み深いものです。とはいえ、大鵬の全盛期には間に合わず、また茨城の田舎で育ったにもかかわらずアンチ巨人だった私にとって、この三つのうち共感できるのは「卵焼き」だけでした。

卵は、昭和の子供たちだけでなく、現代の日本人にとっても、欠かせない食材であり続けています。だからこそ、卵はその価格以上に“付加価値”を持つ存在であり、今なお「お店の集客の切り札」として重宝されています。

「卵1個サービス」「卵食べ放題」といった販促文句で、私たちは今日のランチ場所を選んだりしますが、それは決して私だけではないはずです。

また、マクドナルドの「月見バーガー」が販売される時期になると、国内需要が一気に高まるのも、卵業界では常識となっています。


このように、卵は変わらぬ魅力を持ち、私たち庶民もずっとその恩恵を受けてきました。しかし、もはや「物価の優等生」であり続けるには限界が来ているのかもしれません。

今年の価格高騰の主な原因は、昨年夏の異常高温による親鳥の産卵率低下、そして何よりも「鳥インフルエンザの多発」にあります。
鳥インフルエンザによる殺処分数は、令和6年度(2025年3月21日現在)で932万羽に達し、過去最多の令和4年度(1,771万羽)、令和2年度(987万羽)に次ぐ規模となっています。


ただし、先に述べたように、飼育コストは他産業と同様に上昇し続けています。したがって、「昨年よりもこれだけ上がった!」という比較だけではなく、本来のコスト構造を正しく理解したうえで、適正価格について生産者・販売者・消費者の三者で折り合いをつけていくことが重要になってきていると感じます。

農林水産省が進めている「フェアプライスプロジェクト」においても、卵は主要なテーマとして扱われています。


弊社が関わっている、香港向けの輸出についても触れておきます。
日本の通関統計によると、2024年の対香港輸出量は2.1万トンに達しています。
添付資料からも分かるように、概ね2万トン前後で推移しています。

香港が輸入する食品は、中国大陸への経由地となるケースも多いのですが、卵に関しては「現地消費」が中心であるようです。

香港側の統計を見ると、日本は中国本土に次いで、輸入元として第2位に位置しています。
現地の声を聞く限り、「品質の安定性」が日本産卵の一番の魅力とされています。


世界的にも高く評価されている日本の鶏卵には、今後もさらなる成長の余地があります。
弊社としても、輸出数量を拡大すべく、引き続き努力してまいります。

もっとも、ここまで来られたのは、生産者の皆さまが生産効率向上やコスト削減に、不断の努力を続けてこられたおかげです。

貿易の世界は、競争が激しく、理想論だけでは前に進みませんが、それでも卵を取り扱う全ての関係者への感謝を忘れずに、「フェアプライス」の実現を目指しながら、顧客の拡大に向けて努力していく所存です。

最後に、写真は弊社におけるコンテナ積み込みの様子です。物流関係の皆さまにも、心より感謝申し上げます。

(参考文献)

  • 農林水産省「フェアプライスプロジェクト」HP
  • キューピーアヲハタニュース(2023年10月26日)
  • JETRO「農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム 香港」(2024年11月)
  • 農林水産省 鳥インフルエンザ貿易対策本部「鳥インフルエンザの発生状況について」
  • JA全農たまご株式会社「相場情報」HP

日本酒文化を中国に広めている弊社のパートナー・華櫻貿易青島有限公司外口社長のブログはこちらからご覧ください!

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